EDとはどんな状態?
ED(勃起不全)とは、さまざまな要因によって、満足な性行為をするための十分な勃起が得られない、または維持できない状態を指します。
「まったく勃起しないこと」だと考えている人が少なくありませんが、上記のようにEDには、「勃起が十分でなく満足な性行為ができない」「勃起が維持できず満足な性行為ができない」といった状態も含まれるのです。
現在、軽度の症例を含めると国内だけでも2,000万人近いED患者がいると言われています。これは男性の3人に1人がEDであるという計算です。また60歳以上に限っては、2人に1人がEDだと言われており、非常に身近な問題となっています。
こんな症状はEDかも…
以下のような症状が見られ、「満足な性行為ができない」という場合には、EDである可能性が高くなります。
- 勃起の程度が弱い
- 勃起が続かない
- 勃起までに時間がかかる
- 勃起しても硬さが足りない
- 性的興奮があるのに勃起しないことがある
- 不安がある場面などで勃起しないことがある
なぜ勃起不全になる?原因とは
EDは大きく以下の4つのタイプに分けられ、それぞれ原因が異なります。
EDの4つのタイプ
心因性ED
疲労、ストレスなどによって脳内の情報伝達物質が減少し、脳が感じている性的刺激・興奮がうまく伝わらず、十分な勃起が得られないタイプです。
職場における疲労やストレス、「早く子どもを作らないと」というプレッシャー、以前した性行為がうまくいかなかったことによるトラウマなど、さまざまな原因が考えられ、またそれを自覚している場合と自覚してない場合があります。
30~40代の男性によく見られるEDです。
器質性ED
血管や神経の障害といった器質的な要因によって、十分な勃起が得られないタイプです。
よく見られるのは、糖尿病や高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病によって動脈硬化が進行することで血流が低下しているケースです。ペニスの血流も低下することから、勃起が不十分になるのです。
また、脳腫瘍・脳外傷・アルツハイマー病・パーキンソン病などの場合は自律神経に障害を起こすため、同様に器質性EDを引き起こすことがあります。
50~60代以降に好発します。
混合性ED
心因性EDと器質性EDが混在しています。EDの中でもっともよく見られるタイプです。
職場で重要なポジションに立つ人が多いこと、生活習慣病になる人が増えてくることから、40代前後で好発します。
器質性EDによって性行為がうまくいかなかった経験がトラウマとなり、心因性EDを合併するというケースも少なくありません。
薬剤性ED
特定の薬剤の副作用によって、十分な勃起が得られないタイプです。
薬剤性EDの原因となる薬剤には、うつ病の治療薬、降圧剤、前立腺肥大症の治療薬、非ステロイド性抗炎症剤などが挙げられます。
生活習慣病とEDの関係
よく知られた生活習慣病としては、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症などがあります。
これら生活習慣病は、血管がもろく硬くなる「動脈硬化」を進行させます。動脈硬化は全身の血管に影響するものであり、ペニスへと続く陰茎動脈もその例外ではありません。血流が不足することで、十分な勃起が得られなくなるのです。
糖尿病患者のED合併率は80%、高血圧患者のED合併率は70%と言われており、生活習慣病とEDが密接な関係にあることが分かります。
EDの治し方や改善方法
第一選択となるのが、ED治療薬です。ED治療薬は、ペニスの血管を拡張し、勃起を促進します。勃起に必要な神経・細胞が損傷しているような一部の例を除き、勃起の改善が期待できます。当院では、シルデナフィル(バイアグラ後発品)を処方しております。
ここではEDのタイプ別に、その具体的な治療法をご紹介します。
心因性ED
ストレスの軽減・パートナーとの協力
心身をしっかりと休めること、ストレスを溜めないことなどが大切です。また性行為がうまくいかなかったことがトラウマとなっている場合には、そのことをパートナーに伝え、二人で協力していきましょう。焦らずに、「うまくいかなくても大丈夫」という気持ちを二人で共有し、自信を取り戻す・信頼関係を深めることで、EDの改善が期待できます。
ED治療薬
ED治療薬は、あくまで対症療法です。しかし、ED治療薬によって十分に勃起し、満足な性行為に至った成功体験が、心因的な原因を取り除き、根本的治療に繋がることがあります。
器質性ED
疾患の治療・生活習慣の改善
EDの原因となっている疾患の治療が最優先です。
また、動脈硬化は「血管の老化」ですので、疾患の診断を受けていないという方も、食習慣や運動習慣の改善は、EDを悪化させないために有効となります。
ED治療薬
疾患の治療を行っていく間も、ED治療薬の使用が可能です。
ED治療薬が使用できない場合には、血管再生治療などが行われることもあります。
混合性ED
混合性EDについては、心因性ED、器質性EDそれぞれに対する治療を行うことになります。
薬剤性ED
EDの原因となっている、うつ病の治療薬、降圧剤、前立腺肥大症の治療薬、非ステロイド性抗炎症剤といった薬の変更、減薬などを検討します。
当院で取り扱うED内服薬
(バイアグラ)
シルデナフィル50mg
(バイアグラ後発品)
- 空腹時か食後2時間後に内服します。(食事の影響を受けやすいため)
- 服用後、約1時間で効果が現れ始め、5時間後まで続きます。
- 1日の服用は1回までとし、次回の服用まで最低24時間をあけてください。
- 料金は次の通りです。(1,100円/1T、診察料・税込)
※お薬は、薬局を経由せず、診察室でお渡しします。
内服薬の注意点
- 狭心症などの治療に用いられる「硝酸剤(飲み薬・貼り薬・スプレー等)」を使用している方は、絶対にED治療薬を飲まないでください。血液が急降下し、重篤な副作用を起こすことがあります。
- 性行為は、心臓に一定の負担をかけます。ED治療薬を内服後、狭心症などの症状が現れた場合には速やかに受診し、医師にED治療薬を内服していること、薬の種類、服用した時間を伝えてください。
- 万が一の事態に備え、パートナーにもED治療薬を服用中であることを伝えておきましょう。
AGA治療
AGAは進行する?AGAとは
AGA(男性型脱毛症)とは、成人男性によく見られる薄毛です。額の生え際、頭頂部、あるいはその両方から薄毛が進行していきます。
遺伝や男性ホルモンの影響でヘアサイクルが短くなり、十分に成長する前に抜け落ちてしまうために起こります。進行性であるため、放置していると薄毛は次第に悪化していきます。
AGAであっても、産毛・毛包が存在している限り、AGA治療によってヘアサイクルをもとに戻し、髪の毛が太く長く育つ可能性があります。諦める必要はありません。
ただ、逆に言うと進行し産毛・毛包が少なくなるほど、治療の効果は得られにくくなります。薄毛が気になった時点で、お早めに当院にご相談ください。
こんな症状はAGAかも…
- 額の生え際や頭頂部の髪が薄くなった
- 髪の毛が細くなった気がする
- 産毛のような、十分に育たない髪の毛が増えた
- 枕の抜け毛が目立つようになった
- 洗髪時の抜け毛が多くなった気がする
- 思春期ごろから薄毛が気になっていた
- 両親、兄弟、祖父母も薄毛だった
その他の脱毛症
毛が抜けてしまう「脱毛症」は、AGAだけではありません。
円形脱毛症
ストレス、免疫の異常などをきっかけに、円型・卵型に境界のはっきりとした脱毛が認められます。
粃糠(ひこう)性脱毛症、
脂漏(しろう)性脱毛症
フケや皮脂などの老廃物が毛穴に詰まり、毛根の機能が低下することで起こる脱毛症です。
抜け毛とともに、フケが目立ちます。
抜毛症(トリコチロマニア)
ストレス、情緒障害などを原因として、自分で髪の毛を抜いてしまう病気です。
薬剤性の脱毛
抗がん剤に代表される、薬の副作用による脱毛症です。高度のびまん性脱毛が認められます。
機械性脱毛症
髪の毛をくくったときなどに毛包が萎縮し、引っ張られた部分に脱毛が認められます。
額の左右が後退するケースがよく見られます。病気ではありません。
季節の抜け毛
誰でも、季節ごとに抜け毛の量が上下します。8~11月は、それ以外の月と比べると抜け毛が約2.5倍増えると言われています。こちらも病気ではありませんが、AGAを合併して抜け毛が増えているということは考えられます。
AGAになる原因
遺伝、男性ホルモン、生活習慣の乱れ、誤った方法でのヘアケア、ストレスなどが複合的に影響してヘアサイクルが短くなることが原因と考えられます。
毛髪が十分に育たないまま抜けてしまうことで、徐々に薄毛が目立ってしまうのです。
AGAによる薄毛の対策や予防方法
遺伝や男性ホルモンの影響などについては、ご自身で対策はできません。しかし、それ以外の原因については、以下のような対策が可能です。
生活習慣の改善
食習慣
栄養バランスの良い、発毛・育毛の効果が期待できる食事を摂ることが大切です。反対に、糖分やアルコールの摂り過ぎ、食べ過ぎは避けましょう。
特にタンパク質、ミネラル、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB6のうちで不足している栄養があれば、意識的に摂取しましょう。
- タンパク質:納豆、豆腐、鶏ささみ、卵、サケ、サンマ等
- ミネラル:牡蠣、イワシ、ごま、わかめ、昆布、アーモンド等
- ビタミンC:ピーマン、トマト、レモン、ブロッコリー等
- ビタミンA:にんじん、レバー、ほうれん草、あん肝等
- ビタミンB6:海苔、わかめ、チーズ、卵、レバー、胚芽米等
運動習慣
適度な運動は、全身の血行を促進します。また運動を楽しむことで、ストレスの解消にも繋がります。
ただし、汗をかいたまま放置しないようにしましょう。
規則正しい生活リズム・十分な睡眠
規則正しい生活リズムを刻み、早寝早起きを習慣づけましょう。
毛髪の発育に必要な成長ホルモンは、22~翌2時に分泌量が増加します。22時までに寝るのが理想です。
禁煙
喫煙は、血流を悪化させます。喫煙している方は、禁煙しましょう。
当院では、禁煙外来を開設しております。
正しいヘアケア
誤ったヘアケアは、逆に薄毛を進行させてしまいます。特に以下の点にご注意ください。
- 髪を洗う際には、ぬるま湯を使いましょう。
- シャンプーはよく泡立てて、手のひらで優しくマッサージするように洗いましょう。
- シャンプーは、シャワーでしっかりと洗い流しましょう。
- タオルを優しく押し当てるようにして水分を拭き取りましょう。
- ドライヤーの温度は、熱すぎないように調整してください。
- 洗いすぎは乾燥を招き、頭皮の環境を悪化させる恐れがあります。1日1回が基本です。
- 朝ではなく、夜の洗髪をおすすめします。(成長ホルモンの分泌が増えるのが22~翌2時であるため、その直前の洗髪が効果的です)
ストレスの解消
過度なストレスは、頭皮の環境を悪化させます。ストレスをゼロにすることはできませんが、溜めすぎないこと・適度に発散することが大切です。
AGAの治療方法
薬物療法
プロペシアやザガーロといったAGA治療薬を使用します。
プロペシア1mg
有効成分フィナステリドが、Ⅱ型5α-還元酵素の働きを阻害し、脱毛を引き起こすDHTを抑制することで、AGAの進行を遅らせます。
ザガーロ0.5mg
有効成分デュタステリドが、Ⅰ型・Ⅱ型5α-還元酵素の働きを阻害し、脱毛の原因となるDHTの働きを抑制することで、AGAの改善が期待できます。
外科的治療
自毛植毛術などがこれに該当します。
整容
かつら(ウィッグ)などを使用する方法がこれに該当します。
内服薬の注意点
- 内服する時間帯は特に決まっていませんが、できるだけ24時間ごとに服用することが推奨されます。
- 6カ月間服用しても効果が認められない場合には、再度ご相談ください。
- 女性、小児への処方はできません。妊娠中のAGA治療薬の内服は、お腹の赤ちゃんに悪影響を与える可能性があります。
- 錠剤はそのまま飲むようにしてください。コーティング加工されており、割ると効果が低下します。
- 前立腺がんの検査を受ける場合には、事前に医師にご相談ください。(PSA値を約50%低下させます)
- AGA治療薬の服用中は、献血ができません。献血をするためには、1~6カ月の休薬が必要です。
- 塗るタイプの育毛剤と併用することができます。
プロペシアとザガーロの違い
プロペシア1mg
Ⅱ型5α-還元酵素の働きを阻害します。
20~50歳を対象にした調査では、以下のような報告があります。
- 投与1年間で58%、2年間で68%、3年間で78%の改善効果が認められました。(但し、著明な改善は2~6%程度)。
- 投与1年間で40%、2年間で31%、3年間で20%の現状維持効果が認められました。
比較的安価です。(フィナステリド28T/箱:6,600円、診察料・税込み)
ザガーロ0.5mg
Ⅰ型5α-還元酵素とⅡ型5α-還元酵素、両方の働きを阻害します。
プロペシアと比べ、1.6倍の効果があると言われています。
比較的高価です。(ザガーロ30T/箱:11,000円、診察料・税込み)
後発品は安価になっています。(デュタステリド30T/箱:7,150円、診察料・税込み)