「右胸が痛い」と感じると、不安に思われる方も多いのではないでしょうか?
胸の痛みというと「心臓の病気?」と思われる方も多いかと思いますが、心臓は体の左寄りにあるため、右胸の痛みの場合は心臓以外の原因である可能性が高いです。そこで今回は、「右胸が痛い」と感じる際の原因と特徴、注意すべきポイントについてなど解説していきます。
右胸が痛いときに最初に確認すべきポイントとは?
まず、痛みの性質や痛みを感じる状況をよく観察するようにしてください。以下のような情報が痛みが生じている原因の解明に繋がります。
痛みの性質
鋭い痛み、鈍い痛み、締め付けられるような痛み、ズキズキする痛みなど
痛みの持続時間
瞬間的か、数分か、何時間も続くか
体勢や呼吸による変化
動くと痛む、安静時でも痛む、深呼吸すると痛みが強まるなど
その他の症状
咳、発熱、吐き気、しびれ、呼吸困難など
このような要素を細かく確認することで、医師の診察時に重要な手がかりとなります。
【原因①】呼吸器系の異常
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肺炎や気管支炎
肺や気管支に炎症が生じると呼吸をするたびに胸が痛むことがあります。
特徴
- ・発熱や咳、痰を伴うことが多い
- ・深呼吸や咳で痛みが増すことがある
- ・背中側にも放散することがある
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胸膜炎
肺を包む胸膜で炎症を起こると、左右どちらかの胸に鋭い痛みを感じることがあります。
特徴
- ・呼吸時の痛みが強く、刺すような痛みを感じる
- ・安静時には痛みは軽減し、深呼吸や咳で悪化
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気胸(肺に穴があく)
肺の一部に穴が空くことで空気が漏れ、肺がしぼむ病気です。若くて痩せ型の男性に多くみられます。
特徴
- ・急に痛みを感じる
- ・呼吸困難(呼吸がしにくい
- ・胸の違和感
- ・呼吸音の左右差が出ることも
【原因②】肋骨や筋肉の問題
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肋間神経痛
神経が圧迫・刺激されることで痛みが生じるもので、左右どちらにも痛みが生じます。
特徴
- ・鋭い痛み、ピリピリとした痛みが肋骨に沿って感じる
- ・体を動かしたり姿勢を変えると痛みが悪化
- ・押すと痛みを感じることも
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筋肉痛や筋膜炎
重いものを持ち上げたり無理な姿勢をとった際に痛みを感じることがあります。
特徴
- ・前屈やねじる動きなどの特定の動作をした際に痛みを感じる
- ・押すと痛みがはっきりとあらわれる
- ・安静にしていれば徐々に軽快
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肋骨骨折や打撲
転倒や事故などで胸を強くぶつけた場合に骨折や打撲を疑います。
特徴
- ・痛みが持続する
- ・呼吸時や咳、くしゃみで痛みが悪化
- ・触れると強く痛む部位がある
【原因③】消化器の病気
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胆石症・胆のう炎
右胸の下にある胆のうが右胸の痛みに関係することがあります。食後や夜間に痛むことが多く、痛みが右肩や背中に広がっていくこともあります。
特徴
- ・食後1〜2時間後に右上腹部から右胸あたりに痛みを感じる
- ・吐き気、発熱、黄疸を伴うこともある
- ・脂っこい食事をすることで痛みが悪化することがある
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肝炎・肝硬変
肝臓は右上腹部にあり、炎症や肝臓に障害があると右胸の下に違和感や鈍痛を感じることがあります。
特徴
- ・全身の倦怠感、食欲不振、黄疸などを伴うことがある
- ・治療を行っても慢性的な経過をとる場合が多い
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胃のガスや逆流性食道炎
消化管内にガスが溜まりすぎたときや、胃酸が逆流してしまうことで右側の胸に痛みが放散することがあります。
【原因④】循環器・心臓の病気
「右胸が痛い」ときに心臓疾患を疑う可能性はやや低めではありますが、完全に否定をすることはできません。
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肺塞栓症
血栓が肺の血管を塞いでしまう病気で、深部静脈血栓症が原因となることがあります。
特徴
- ・急な胸痛、息苦しさを感じる
- ・心拍数の上昇、意識がぼんやりする
- ・緊急処置が必要な病気です
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大動脈解離(胸部)
胸の大動脈に裂け目ができるとそこに血液が入り込んでしまう非常に危険な病気です。
特徴
- ・胸全体や背中に広がる激しい痛みを感じる
- ・血圧の左右差、冷や汗がする
- ・早急な治療が必要となります
【原因⑤】心理的ストレス・自律神経の乱れ
精神的なストレスや不安、過労などから自律神経系のバランスが崩れてしまうと、胸の痛みや圧迫感を感じることがあります。心因性胸痛とも呼ばれ、心療内科の受診が適切であるケースもあります。
特徴
- ・医学的検査では異常がみられない
- ・胸の違和感、動悸、息苦しさを感じる
- ・安静にしていると改善する傾向がある
受診すべきタイミングは?
「右胸が痛い」といった症状が以下のような状態であれば、速やかに循環器内科を標榜しているクリニックを受診してください。
- ・急激な強い痛み
- ・胸の痛みが長く続く
- ・安静時でも胸の痛みを感じることがある
- ・呼吸がしにくい、息苦しさを感じる
- ・食後に繰り返す右上腹部の痛み
- ・背中や肩にまで痛みが広がっている
- ・痛みとともに意識がぼんやりする、冷や汗が出ることがある
特に「呼吸や姿勢に関係なく痛む」「何度も痛みが繰り返す」「今までにない強さの痛み」を感じる際は注意が必要です。
「右胸が痛い」は軽視せず、症状を見極めよう
「右胸が痛い」という症状は、軽度の筋肉疲労や肋間神経痛から生じていることもあれば、肺・胆のう・肝臓などの病気、さらには命に関わる重大な病気が原因となっている可能性があります。
痛みの性質や状況、併発する他の症状などをよく観察し、些細なことでも構いませんので「いつもとなんか違う」と感じたらお早めにご相談してください。