最近家族からいびきをかいていると指摘されたり、いびきの大きさについて指摘された方、自分のいびきで目が覚めたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
いびきは自身では自覚しにくいため、指摘されないと気づかないことがほとんどです。いびきを指摘されても軽視している方も多くいらっしゃいますが、放っておくと重篤な合併症を誘発したり、日常生活に支障をきたす場合もあります。いびきを指摘されたことがある方はぜひ最後までご覧ください。
いびきについて
いびきは、睡眠中に空気の通り道である気道が狭くなってしまい、空気の流れが妨げられてしまうことで発生する音のことを言います。
いびきが生じる原因は、咽頭(のど)が狭くなって、空気が通る際にのどが振動して音がでることです。特に眠っているとのどを支えている筋肉が緩んでしまうため、余計に咽頭が狭くなってしまいます。
いびきのセルフチェック
いびきは無意識にかいているものであり、いびきをかいているかを自覚することは難しいです。いびきをかいているかのセルフチェック項目を下記に記載をしています。以下のチェックポイントに該当する方はいびきをかいている可能性が高いです。
- ・眠りが浅いと感じる
- ・しっかり寝ているが昼間に眠気を感じる
- ・注意力や集中力が続かない
- ・寝ても疲れが取れない(身体がだるく感じる)
- ・鼻がつまりやすい
- ・朝起きたときに口が乾いている
- ・高血圧と診断されている
- ・肥満を指摘されている
いびきの種類と特徴
いびきには、軽度のいびきから重度のいびきまでさまざまな種類があります。
-
単純性いびき
一般的ないびきのことで、気道が狭くなってしまうことで発生します。特に健康に問題を引き起こすことは少なく、朝起きたときもすっきり目覚められていれば特に問題はありません。ただし、慢性的にいびきをかき続けている場合は、将来的に病気に繋がってしまう可能性もありますので注意してください。単純性いびきの原因としては、肥満体型、アルコール摂取、喫煙、鼻詰まりなどがあげられます。
-
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)に伴ういびき
睡眠中に気道が完全に閉塞してしまい、一時的に呼吸が停止することでいびきが発生してしまいます。閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の原因としては、肥満体型、扁桃肥大、下顎の後退などがあげられます。
-
中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)に伴ういびき
脳の呼吸中枢で異常が生じてしまい、呼吸が不規則になってしまうことで発生します。上記の『OSA』とは異なり、気道の閉塞が原因でいびきをかいている訳ではありません。中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)の原因としては、心不全や脳卒中、薬物の影響などが原因となります。
-
上気道抵抗症候群(UARS)に伴ういびき
気道が完全に閉塞する訳ではないですが、部分的に狭くなってしまうことで呼吸が困難となってしまいます。口を開けて寝てしまうことで生じるいびきで、のどが渇いて夜に起きてしまうなどの睡眠の質が低下にも繋がってしまい、日中の眠気や疲労感(寝ても疲れが取れない)を引き起こしてしまいます。上気道抵抗症候群(UARS)の原因としては、肥満体型、鼻詰まり、アレルギーなどがあげられます。
いびきの原因
いびきの原因は、空気の通り道である上気道が狭くなってしまうことにあります。いびきをかいてしまう原因には、疲労、肥満体型、鼻詰まり、アレルギー性鼻炎・慢性鼻炎などの耳鼻科系の病気など、下記に記載しているような要因が考えられます。
- ・疲労
- ・肥満体型
- ・鼻詰まりやアレルギー
- ・アルコールや薬物の影響
- ・喫煙
- ・年齢
- ・性別
- ・下あごが後退している
- ・扁桃炎の炎症、扁桃腺肥大
- ・睡眠姿勢
いびきの影響とリスク
いびきは、睡眠の質を低下させるだけでなく、日中の眠気や集中力の低下、高血圧、心疾患、糖尿病などのリスクを高めることがあります。また、いびきが原因でパートナーの睡眠にも影響を与えることがあります。重度のいびきでは重大なリスクになりえます。
いびきによる健康面への影響
・睡眠の質の低下
いびきをかくことは睡眠を断続的に中断させることであり、深い睡眠が妨げられてしまいます。しっかりと睡眠時間を確保していてもいびきをかいていると、日中の眠気や疲労感が増加してしまいます。
・高血圧の発症リスクアップ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と高血圧は密接に関わっており、SASに伴ういびきが原因で血圧上昇を引き起こし、高血圧の発症リスクを高めてしまいます。
・心血管疾患(CVD)の発症リスクアップ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の発症リスクを増加させてしまいます。いびきをかき続けることで、心臓や血管にも大きな負担がかかってしまいます。
・脳卒中の発症リスクアップ
睡眠中に気道が詰まって息をこらえた状態となる度に、数秒〜数十秒だけ血圧が急上昇してしまいます。また、頸動脈の動脈硬化が進行してしまい脳卒中の発症リスクが増加してしまいます。
・糖尿病の発症リスクアップ
睡眠不足や断続的な睡眠はインスリン抵抗性を高めてしまうことになります。そのため、睡眠の質が下がることで糖尿病の発症リスクを増加させてしまいます。
・精神的な健康リスクアップ
睡眠不足はうつ病や不安障害の発症リスクを高めてしまいます。いびきをかくことによる睡眠の質の低下が、精神的な健康面にも大きく影響を及ぼしてしまいます。
いびきは放っておいても大丈夫!?
飲酒した時、かぜを引いた時だけいびきをかいてしまう場合は、大きな心配はないかと思いますが、何かしらの病気が原因となっていびきをかいていると慢性的な睡眠不足となり、普段の生活にも影響を及ぼしてしまいます。
中等症以上の睡眠時無呼吸症候群では日中の強い眠気のため交通事故の危険性が高まったり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の原因となったり、精神面の不調を招いてしまったり、心血管疾患の発症リスクを高めてしまいます。些細なことでも構いませんので、いびきについて指摘をされた方はお気軽にご相談ください。