「むくみの原因」って?
朝起きたら顔がパンパンになっている、夕方になると足が重い、靴がきつく感じる時はむくみが生じているサインです。「むくみ」は多くの人が経験する日常的な症状です。しかし、むくみを単に水分が溜まっているだけと軽く考えていると、重大な病気が隠れている可能性もありますので注意をしてください。今回は、むくみの原因について解説し、むくみの対策や注意すべき症状についてもお伝えいたします。
そもそも「むくみ」とは?
むくみ(浮腫)は体の中にある水分が血管やリンパ管から漏れ出し、皮膚の下などにたまった状態を言います。重力の影響で足や顔に水分が溜まりやすく、むくみは一時的なものから慢性的に生じているものまでさまざまです。
むくみの原因について
むくみが生じる原因として、大きく分けて5つのタイプに分類できます。
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普段の生活習慣
普段の生活習慣が原因でむくみが生じることがあります。一時的で比較的軽度なむくみ場合は日常生活の中に原因があります。
・長時間の立ち仕事
重力により血液やリンパの流れが悪くなってしまうことで足に水分がたまります。お仕事などで座りっぱなしの場合mむくみが生じることがあります。
・塩分の多い食事
塩分に含まれる ナトリウムは体内に水分を引き込み、むくみが生じやすくなってしまいます。塩分の濃い食べ物の過剰摂取はお気を付けください。
・水分不足
水分不足となると体が水分をため込もうとし、身体がむくむことがあります。
・女性ホルモンの変動(生理前や妊娠中など)
女性ホルモンである プロゲステロンの影響により、水分がたまりやすくなってしまいます。生理前や妊娠中によくみられます。
・アルコールの過剰摂取
アルコール類を飲むと 血管が拡張し、水分が血管外に漏れやすくなってしまいます。アルコール類の過剰摂取にはご注意ください。
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心臓の病気によるむくみ
心臓は血液を全身に運ぶ役割を担っていますが、このポンプ機能が弱まると血液がスムーズに全身を巡らなくなり、その結果としてむくみが生じることがあります。この時、足にむくみがあらわれます。
・心不全
左心不全では肺に水がたまり(肺水腫)、右心不全では下肢にむくみが生じてしまいます。 息切れ、倦怠感(疲れが取れない)、夜間の呼吸困難、足のむくみを感じる際は心不全の可能性もあります。心臓の病気が原因でむくみが生じる場合は両足同時にむくむことが多く、朝になってもむくみが引かないのが特徴です。
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腎臓の病気によるむくみ
腎臓は体内の余分な水分や塩分を体外に排出する役割があります。そのため、腎機能が低下してしまうと水分が身体にたまりやすくなってしまいます。
・ネフローゼ症候群、慢性腎不全
慢性腎臓病やネフローゼが発症していると タンパク尿、顔のむくみ(特に朝方にみられます)、尿量減少、尿が泡立つ、倦怠感(疲れが取れない)などの症状を感じる際は腎臓病の可能性があります。腎臓病が原因でむくみが生じる場合は顔からむくみが始まり、徐々に全身に広がっていくことが特徴です。
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肝臓の病気によるむくみ
肝臓は血液中に含まれるアルブミンというタンパク質を作る重要な臓器です。肝機能が低下してしまうとアルブミンが減少していき、血管内にある水分が血管外に漏れ出やすくなってしまいます。
・肝硬変、慢性肝炎
慢性肝炎や肝硬変が発症していると 腹水(お腹に水分が溜まる、腹部膨満感)、全身のむくみ、黄疸、皮膚が痒い、食欲不振などがの症状を感じる際は肝臓病の可能性があります。肝臓病によるむくみは腹水が特徴です。
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リンパの流れが悪くなる病気(リンパ浮腫)
がん治療、先天的なリンパ管の異常などでリンパ液の流れが悪いと慢性的なむくみが生じることがあります。片側の手足にむくみが出る、押してもへこみにくい硬いむくみ(非圧痕性浮腫)が見られる際はリンパ系の病気の可能性があります。
むくみの見分け方とセルフチェック
むくみの原因を見極めるためには、以下のような点を確認するようにしてください。
・片側だけでむくみが出ているか?
片側だけでむくみが生じている際は静脈血栓、リンパ浮腫などが考えられます。
両側でむくみが生じている際は心臓・腎臓・肝臓などの全身疾患が原因となっている可能性が考えられます。
・むくみが生じる時間帯は?
朝方にむくみが生じる際は腎臓の病気の可能性が考えられます。
夕方にむくみが生じる際は立ち仕事などの一時的なむくみの可能性があります。
・むくみの硬さは?
柔らかい(圧痕性)むくみの場合は水分が溜まっているだけとなりますが、 硬い際は:リンパの異常や長期的なむくみの可能性が考えられます。
むくみを改善するための対策
むくみが生じている際は日常生活の中で、以下のようなことを意識して取り組んでいただければと思います。
・塩分を控える(1日6g未満が目標にする)
・こまめな水分補給をする(脱水を防ぎ、排尿を促す)
・下半身を温める
・ストレッチやウォーキングで血流を改善させる
・着圧ソックスの活用をする
・規則正しい睡眠と適度な運動をする
むくみで受診すべきタイミング
以下のような症状がみられる場合は自己判断せず、お早めにご相談ください。むくみがみられる際は循環器科を専門的にみているクリニックに受診されることを推奨します。
・急にむくみが出た(むくみがひどくなった)
・顔や片側だけがむくみ
・顔や手足だけでなくお腹や全身がむくむ
・むくみだけなく、息苦しさ・体重の急増・尿の異常を伴う
「むくみの原因」は体からのSOSのサイン
「むくみの原因」は単なる生活習慣の乱れから生じることもありますが、心臓・腎臓・肝臓などの臓器の不調によってむくみが発症している可能性があります。大切なことは、むくみが出た際に軽視せずに直ぐに相談をすることです。一時的にむくみが生じていることもあれば、気が付いていないだけで慢性的にむくみが生じている場合もあります。むくみは体の異常を教えてくれるSOSのメッセージです。些細なことでも構いませんのでお気軽にご相談ください。