感染源が不明な方が、徐々に増えてきました。
これからは、「ひょっとしたら自分は保菌者かも」と考えて行動することが大事と思います。
新型コロナウイルス感染症について、まとめてみました(4/4現在)
※4/9、4/11、4/18、4/22、4/25、5/2、5/3、5/29、7/4加筆改訂しました。
Q1. 感染対策でいわれる、「標準予防策」とは何ですか?
A1. マスクと手洗いです。
ウイルスは、目、鼻、口の粘膜から侵入しますので、マスクや手洗いでそれを防ぎます。
人は無意識に顔を触っていますが、少なくとも顔を触りたい時は、手を洗ってからにしましょう。
Q2. 「濃厚接触」とは、具体的に何ですか?
A2. 発症2日前から、15分以上、1メートル以内で過ごすことです。
濃厚接触の有無を判断する際は、接触時間、患者の咳の有無、双方のマスク着用の有無も考慮します。
15分以上の接触で、どちらか一方がマスクをしていない場合は中リスク、双方がマスクをしていれば低リスクとなります。
また、1-2分であれば、双方がマスクをしていなくても低リスクとなります。
中リスクの場合、14日間の隔離が必要ですが、低リスクの場合は隔離不要です。
なので、受診・診察の際はマスク着用を必ずお願いいたします。
Q3. 「軽症」、「中等症」、「重症」、「重篤」とは何ですか?
A3. 肺炎の有無や酸素状態で分けられます。
軽症とは、症状が軽く、肺炎がないもの。
中等度とは、症状があり、肺炎があるもの。
重症とは、酸素投与が必要な場合。
重篤とは、人工呼吸器やICUが必要な場合。
但し、肺炎があるかどうかはレントゲンを撮らないとわかりません。
軽症と判断され、自宅で亡くなられるケースが報道されていますが、症状が軽くても肺炎があった可能性はあります。
(そもそも「症状が軽い」の定義が不明確です)。私見ですが、PCRの検査よりレントゲンの方が対応施設が多く有益かも知れません(風邪症状の方全員のレントゲンを撮るのは非現実的だとは思いますが・・)
Q4. もしコロナウイルスに感染したら、どんな経過をとりますか?
A4. 以下のような経過をたどります。
1. 感染から約5日間(1-14日間)の潜伏期間を経て、
2. 発熱、乾いた咳、倦怠感が出現し、(鼻水、咽頭痛、下痢が見られることあり)
3. 症状が約7日間続きます。(普通の風邪では3-4日目がピークです)
熱の割に倦怠感が強いことも特徴です。
4. 7日後、約8割の人は自然治癒しますが、約2割の人に呼吸苦が出現(肺炎を合併)、約5%の人が重症化します。
注意すべきは、重症・重篤な方でも発熱がない場合があることです。
持病がない方の致死率は0.9%と言われています。
5. 症状改善後も2週間はできるだけ外出を控えるようお願いいたします。
Q5. 「基礎疾患」とは何ですか?
A5. 糖尿病、心不全、慢性呼吸器疾患などです。
年齢を加えた致死率は、順に、80歳以上(14.8%)、心血管疾患(10.5%)、70代(8%)、糖尿病(7.3%)、慢性呼吸器疾患(6.3%)、高血圧(6.0%)、がん(5.6%)・・・となっています。
但し、これはあくまで中国での統計で、例えば「高血圧」とひと言でいっても幅広い年齢層が含まれることが予想されますので、
(当然高齢であれば高血圧の可能性が高い)判断するにはもう少しデータが必要かと思います。
(基礎疾患がないに超したことはないですが・・)
Q6. 味覚・嗅覚障害がみられたら、コロナウイルス感染症ですか?
A6. 味覚・嗅覚障害が生じても、発熱や咳、倦怠感、息苦しさがなければ、自宅で様子をみましょう。
味覚・嗅覚障害は多くの病気でみられ、「感冒後の嗅覚障害は春に多い」と言われています。
・味覚障害は、薬剤性21.7%、突発性15%、亜鉛欠乏14.5%、心因性10.7%・・・
・嗅覚障害は、慢性副鼻腔炎、花粉症、多くのウイルス感染、などでみられます。
逆に、新型コロナ患者さんで調べた結果、
1)入院前2割、入院後3割の方でこれらの症状があった。
2)味覚障害が嗅覚障害より頻度が高く、女性が男性より多かった。
そうです。
以下に該当する場合は、「新型コロナ受診相談センター」に相談しましょう。
1)新型コロナと診断された方と濃厚接触、または渡航歴がある、
2)発熱・咳などの症状が4日以上続き、急に味覚・嗅覚異常が出現した場合、
味覚・嗅覚障害だけなら、自宅で様子をみましょう。
他の症状がない場合は、急ぐ必要はなく自然に治ることも多いです。
ただし、新型コロナに感染している可能性は否定できないので、異常を自覚してから2週間は不要不急の外出を控え、マスク手洗いを励行しましょう。
Q7. 心配なので、PCR検査を受けたいのですが?
A7. 現状、検査対象は「入院が必要な肺炎で、コロナを疑う場合」です。
軽症例では、検査を行わず、自宅安静となります。
そもそも、PCR検査はそれほど感度がよくなく(70%)、検査が陰性でも「感染していない」と言えません。
(感度とは、「感染者が陽性」と出る割合。つまり感染者10人に検査しても、3人は陰性とでる)
万一、PCR検査で陽性と診断されても、重症でなければ安静加療が基本となります。
ご不安になるのは重々承知しておりますが、皆様のご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。
Q8. PCR検査を受けて陰性だったので、もう外出しても大丈夫ですね?
A8. 外出はしばらく控えてください。
4/18現在、PCR検査陰性だった場合の行動指針は、厚労省から出ていません。
4/18現在の吹田市保健所の説明としては、
1)濃厚接触があり、PCR検査陰性の場合
「あくまでも現時点の結果であり、2週間は外出を控えて健康観察を実施して下さい。変化があれば連絡して下さい」
2)濃厚接触がなく、PCR検査陰性の場合
「あくまでも現時点の結果であり、症状が改善するまでは不要不急の外出を控え、引き続きマスク・手洗い等の予防を行って下さい」
(PCR検査が陰性であることは、必ずしも感染がないことを示すわけではないので)
だそうです。Q9も参考にして下さい。
Q9. もしコロナウイルス感染症と診断されたとして、どうなれば退院できますか?
A9. 原則、発症日から14日間経過し、症状軽快後72時間が経過した場合です。
5/29、基準が改正され、(1)もしくは(2)を満たした場合、退院となります。
(1)発症日から14日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合
(2)発症日から10日経過以前に症状軽快した場合に、症状軽快後24時間経過した後にPCR検査を行い、陰性が確認され、その検査の24時間以後に再度陰性が確認された場合
また、無症状病原体保有者については、発症日から14日間経過した場合に、退院となります。
「発症日」とは、患者が症状を呈し始めた日とし、無症状病原体保有者または発症日が明らかでない場合については、陽性確定に係る検体採取日となります。
「症状軽快」とは、解熱剤を使用せずに解熱し、かつ、呼吸器症状が改善傾向にあることです。
上記(2)のPCR検査で陽性が確認された場合でも、(1)に該当した場合は(1)と同様の扱いになります。
それ以外の例では、24時間後にPCR検査を行い、陰性が確認され、さらに検査24時間以後に再度検体採取を行い、陰性が確認されるまで、PCR検査を繰り返します。
なお、患者が再度症状を呈した場合や無症状病原体保有者が新たに症状を呈した場合は、症状軽快後に上記に該当するまで退院の基準を満たさないものとされるようです。
PCR検査を何度もしなくて良くなりました。
Q10. もし抗体検査が陽性だったら安心だから、早く抗体検査を受けたいです。
A10. 現状、抗体検査はあまり信頼性が高くないです。
「感染すると抗体が産生され、抗体があればもう感染しない」というのは、従来のウイルスでは正しいのですが、
新型コロナについては、よくわかっていません。
4/21のScienceに記事があり、まとめますと、
1)検査キットに質が悪いものがあり、本当に新型だけを捉えているか不明(コロナウイルスはいろいろなタイプがある)。
2)抗体の量までは不明で、どれくらいの抗体量があれば、感染源とならないのか、また感染が防げるのか、不明。
3)その抗体量がどのくらいの期間維持できるのかも不明(一生持てば良いのですが)。
なので、イタリアでは、「抗体を持つ医療従事者が診療すれば良い」と言っている医師がいましたが、ちょっと危険な気がします。
結局、もし検査を受けても、
「抗体がない」=これから罹患する可能性があり、要注意。(ほとんどの方がこれに該当すると思われます)
「抗体がある」=過去に感染した可能性があるが、その抗体の量が十分か、いつまで持続するか、不明なため要注意。
ということで、どちらにしても、「要注意」になります。
過度な期待は禁物ですね。
<参考文献>:
日本環境感染学会:医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド
中華人民共和国国家衛生健康委員会弁公庁:新型コロナウイルス肺炎診療ガイドライン
日本プライマリケア連合学会:新型コロナウイルス感染症 診療所・病院のプライマリケア 初期診療の手引き
日本耳鼻咽喉科学会