糖尿病とは、血糖値が高い状態が続く病気です。
血糖値が高いまま放置されると、血管に大きなダメージを与えることになります。
糖尿病を放置すると全身の血管が傷み、血流が悪くなります。
・脳の血管が傷む=脳卒中に。
・心臓の血管が傷む=狭心症、心筋梗塞に。
・眼の血管が傷む=緑内障~失明に。
・腎臓の血管が傷む=むくみ、腎不全~透析に。
・手足の指の血管が傷む=手足の血行が悪くなり、細菌感染が合併すると壊疽(細胞が死んでしまう)=切断に。
・血糖値が著しく高いと、それだけで昏睡状態になり、最悪死亡することも。
糖尿病患者さんの平均寿命は、男性で約69歳、女性で約72歳と言われています(寿命が約10年短くなります)。
糖尿病は、「合併症との戦い」とも言えるでしょう。
正直皆さんの周囲で大変な目に遭った人はほとんどいないので、ピンとこないのはわかります。
しかし私は仕事上、そういう人をたくさん診てきました。
Bさん(65歳)は、数年前から糖尿病と言われていましたが、自覚症状もなく忙しいため、真面目に通院していませんでした。
最近眼が見えにくくなってきましたが、「年かなあ」と思っていました。
ある日、足がむくんで靴が入らなくなってきたので、久々に通院してみると、「もう治りません」と医師に冷たく言われました。
眼科でも同じような返事でした。
「治らないってひどいな。これから真面目に通院すれば、きっと治るよ」と思っていました。
それからは真面目に通院しましたが、眼もむくみもあまり改善しません。
しかも、最近足の指先が黒くなってきたような・・
「先生、何とかして下さい!」と訴えましたが、先生は「だから以前からもっと真面目に取り組むよう、僕は言いましたよ。一旦痛んでしまった血管は元には戻らないのです」と悲しそうな顔で返事するだけでした。
その後、眼はほぼ見えなくなり、透析が始まり、足の指は壊疽と診断され、膝の下で足を切断することになりました。
外科では「足の黒いところだけ取ってくれたらいいのに」と頼みましたが、「血行が悪いところで切断すると傷口が塞がりませんよ」と言われました。
20代で心筋梗塞を起こしたり、膵臓がんを発症した例もあります。
確かに糖尿病の方が全員重大な病気を発症する訳ではないかもしれません。
が、突然、著しく生活の質が低下するケースもあるということです。
あなたは、「99%安全な飛行機(1%の確率で墜落する)」をどう思いますか?
あなたのすべきことを教えましょう。
1)体重を測り、食事運動療法を始める。
2)治療の目標を設定し、定期的に合併症の評価を行う。
3)必要なら治療を受ける。