高血圧

高血圧とは

高血圧とは血圧とは、血液が血管の壁を押す圧力のことを指します。この血圧が、診察室での繰り返しの測定(診察室血圧)で最高血圧が140mmHg以上、あるいは、最低血圧が90mmHg以上である場合に、高血圧と診断されます。(75歳未満の場合は、最高血圧が130mmHg以上、あるいは、最低血圧が80mmHg以上)
高血圧は、血管にダメージを与え続けます。動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる疾患のリスクが上昇します。

高血圧に症状はある?

高血圧に症状はある?高血圧は、糖尿病よりもさらに症状に乏しく、血圧測定をして初めて気づくことができる病気と言えます。
血圧が著しく高い場合、頭痛、めまい、肩こりといった症状が起こることがありますが、いずれも非常に身近な症状であるため、高血圧と結びつけて考える(頭痛がするから高血圧かもしれないと考える)というのは現実的ではありません。
だからこそ、症状のあるなしに関係なく、定期的に血圧を測ることが大切になります。

高血圧になる原因

塩分の摂り過ぎ、お酒の飲み過ぎ、肥満、ストレス、運動不足などの生活習慣の乱れ、加齢などを主な原因とします。
また高血圧の発症には、家族性要因が60%ほどあると言われています。体質の遺伝に加え、親子であれば通常は同じような食習慣・運動習慣になりやすいことも関係していると考えられます。

高血圧になりやすい人は?

高血圧になりやすい人は?高血圧の危険因子として、以下のようなものが挙げられます。該当する項目が多いほど、高血圧になりやすいと言うことができます。

  • 遺伝
  • 肥満
  • 耐糖能異常(糖尿病予備群)
  • ストレス
  • 喫煙
  • 塩分の多い食事を好む
  • 外食が多い
  • よくアルコールを飲む

両親ともに高血圧である場合、その子が高血圧になる確率は50%となります。片親のみが高血圧である場合、その子が高血圧になる確率は30%前後となります。
このように、親から子への遺伝性があることは確かです。ただそれも100%ではなく、他の危険因子を取り除くことで、子が高血圧になる確率を下げることができます。

また一方で、高血圧になりやすい体質でありながら生活習慣が良く発症に至っていない人がいる場合でも、その子は体質を受け継いでいる可能性が高く、危険因子が多くなれば高確率で高血圧になってしまいます。
親が高血圧だから子(自分)も高血圧になる、親が高血圧でないから子も高血圧にならないとは言えない、ということです。

高血圧になりやすい?セルフチェック

高血圧になりやすいかチェックしてみましょう

  • 濃い味付けのものが好き
  • 野菜や果物はあまり食べない
  • 運動をあまりしない
  • 家族に高血圧の人がいる
  • ストレスがたまりやすい
  • お酒をたくさん飲む
  • たばこを吸う
  • 血糖値が高いと言われたことがある
  • 炒め物や揚げ物、肉の脂身など、あぶらっぽい食べ物が好き

※当てはまる数が多いほど、高血圧になりやすいので、注意が必要です。

高血圧を放置するリスク

高血圧を放置するリスク高血圧は、血流の圧が高くなり、血管の壁にダメージを与え続けている状態です。この状態を放置していると、血管がもろく硬くなる「動脈硬化」が進行します。
動脈硬化は、全身の血管で進行します。血管が詰まったり破れたりして、脳・心臓・腎臓などで重大な疾患を引き起こすこともあります。
心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる疾患、慢性腎臓病がその代表です。慢性腎臓病になると、塩分の排泄がうまくいかず、高血圧がさらに悪化する悪循環に陥ります。また、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなります。

高血圧の先にある恐ろしさ

「高血圧でねえ」と笑って話をしながら、元気そうに見えるけれど、薬を飲んでいるという人に会ったことはありませんか? 高血圧は、非常に症状に乏しい生活習慣病です。しかし普段目にしないところで、次にご紹介するようなことが実際に起こっているのです。

IT企業に勤めているBさん(44歳)は、会社の健康診断で高血圧を指摘されましたが、放置していました。会社から「精密検査を受けましたか?」といった確認もなく、たいしたことはないだろうと思っていたのです。
しかしある日、突然の激しい頭痛に襲われ、そのまま意識を失います。
次に目を覚ましたのは、病院のベッドの上。医師の診断では、脳出血ということでした。手足が思うように動かず、呂律も回らず、車いすが手放せなくなりました。
はじめは心配していた会社の人たちも、Bさんの状況を詳しく知るにつれ、徐々に離れていきました。入院生活も長期化し、ついに会社から解雇を言い渡されてしまいました。
Bさんは結婚していましたが離婚し、その後は実家で母親と二人で暮らしているそうです。

もちろん、高血圧になったら誰もがこのような運命を辿るというわけではありません。しかし実際に、高血圧を原因とした悲しい出来事が起こっているのです。Bさんは幸い命を取り留めましたが、脳卒中や心筋梗塞で亡くなってしまう人もいます。
まずは高血圧を含む生活習慣病を予防しましょう。そして残念ながら生活習慣病の診断を受けてしまった場合も、きちんと治療に取り組みましょう。この一見当たり前のことが、何よりも大切なのです。当院から、皆様へのお願いです。

高血圧の改善方法と治療方法

塩分の摂り過ぎを控える

高血圧の治療においては、塩分摂取量を1日6g未満に抑えることが必要です。外食、コンビニ弁当、調理パンなどはどうしても塩分が多くなります。自炊を増やし、塩分摂取量を抑えましょう。かつおや昆布などの出汁をうまく使うと、塩分が少なくてもしっかりとした味わいを楽しめます。
なお、日本人の成人に推奨されている目標値は、1日あたり6g未満です。

ミネラルを意識的に摂取する

ミネラルを多く含む緑黄色野菜・果物・海藻・豆類などの摂取は、血圧を下げる効果が期待できます。
バランスの良い食事を前提に、ミネラルを意識的に摂取するようにしてください。

禁煙する

喫煙は、血管の収縮と血圧の上昇を引き起こします。また、血液が凝固しやすくなり、動脈硬化を進行させます。
必ず、禁煙しましょう。当院では、禁煙外来を開設しております。

適正体重を維持する

肥満の方は、適正体重の人と比べると高血圧のリスクが2~3倍に高くなります。
食事療法・運動療法を組み合わせて、適正体重まで減量します。

飲み過ぎを控える

アルコールの飲み過ぎは、血圧の上昇を招きます。1日の飲酒量を減らしたり、休肝日をつくるなどして、飲み過ぎを控えましょう。

適度な運動を習慣づける

ウォーキング、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動は、血圧を下げる効果が期待できます。
強度の高すぎる運動は心臓に負担をかけてしまう恐れがありますので、医師と相談した上で、運動の種類や強度を調整しましょう。

ストレスを溜めない・解消する

ストレスは、高血圧や糖尿病などのリスク要因となります。社会生活を営む上で、ストレスを完全に回避することはできませんが、溜めすぎないこと、しっかりと解消することが大切です。

薬物療法

生活習慣の改善だけで十分な効果が得られない場合には、薬物療法を導入します。
主に、血圧を下げる「降圧剤」を使用します。降圧剤にはカルシウム拮抗薬・利尿薬・ARB(アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬)・ACE(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)・α遮断薬・β遮断薬などいくつかの種類がございますので、患者さんの高血圧の病態などに応じて、適切に使い分けます。

高血圧に関するQ&A

血圧が高いときがあります。これも病気なのでしょうか?

血圧は、時間帯や心身の状態(緊張やストレスの有無)などによって、常に高くなったり低くなったりと変動しています。そのため、一時的に血圧が高くなったとしても、その後基準値に戻れば問題ありません。反対に、リラックスしているときに何度血圧を測っても血圧が高いという場合には、病気としての高血圧であることが疑われます。

一度高血圧になると、一生治らないのでしょうか?

高血圧と診断されて開始した食事療法・運動療法は、原則として生涯続けます。食事療法・運動療法という言葉で見ると辛そうに見えますが、塩分を控えめにした食事も、適度な運動も、慣れて楽しめるようになれば、ご負担にはなりません。
また薬物療法については、一度お薬を飲み始めても、その後血圧コントロールがうまくいけば、服用をやめることが可能です。ただしこれには、食事療法・運動療法にしっかりと取り組んでいる必要があります。生活を何も変えずに高血圧をコントロールすることはできません。

塩分控えめの食事は、味わいがなく続けられそうにありません。

塩分は、しょうゆやポン酢、ソース、味噌、ドレッシングなどにも含まれており、その量を少なくするとなると「食事を楽しめない・辛い」というイメージが先行します。ただ、工夫次第でしっかりと食事を味わえるようになります。以下のような方法を試してください。

  • かつお、昆布などの出汁をしっかりとる
  • ゆず、すだち、レモンなどの柑橘類を取り入れる
  • 胡椒、カレー粉などの香辛料を取り入れる
  • ハーブなどの香草を取り入れる
  • 1品だけ味を濃いめにして、その他の塩分を控える(メリハリが出ます)

味だけでなく、香りや見た目を楽しめる食事だと、減塩も続けやすくなります。

血圧計を購入しようと考えています。購入時のポイントや使い方を教えてください。

上腕に巻くタイプの血圧計がおすすめです。手首などに巻くタイプもありますが、正しく計測できないことがあるためです。
血圧測定の回数は、起床後1時間以内に1回(服薬前)、就寝前の1日2回が基本です。またそれぞれ2度ずつ計測し、その平均値をとり記録してください。
記録した内容は、受診される際にお持ちいただければ、より正確な診断、治療の評価に役立ちます。

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