肥満、特に内臓肥満は、高血圧・糖尿病などのいわゆる生活習慣病を引き起こし、ひいては動脈硬化から脳・心血管障害を引き起こすことは、皆さんご存じと思います。
それに加え最近では、内臓肥満が生活習慣病のほかに様々の消化器疾患にも深く関わっていることがわかってきました。
まず有名なのは脂肪肝でしょう。飲酒による脂肪肝は有名ですが、最近では飲酒によらない脂肪肝を非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼び、この中には肝硬変・肝癌へと進行する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が含まれています。一般健診受診者の約3割がNAFLDと言われ、その一部にNASHが含まれることから、健診で脂肪肝と言われた方は定期的に検査を受けた方がよいでしょう。
また、肥満により消化器がんの危険度が高まることがわかってきました。男性の場合、肝臓がんで4.5倍、膵臓がんで2.6倍、食道・胃・大腸・胆嚢がんで2倍弱、女性の場合、食道・肝臓・胆嚢・膵臓・大腸がんが2.6倍高まったと言われています。肥満によりインスリン抵抗性→高インスリン血症→がん細胞が発生すると考えられています。
他にも、逆流性食道炎・胆石・胆嚢ポリープなどが挙げられます。
太っていてもよくないことばかりのようで、BMI25%以上の方はぜひダイエットをお勧めします。