先日、健康診断で尿蛋白を指摘された方が受診されました。詳しい検査の結果があまりよくなかったので、専門医受診をお勧めしました。
しかし「体調は悪くないので」と、なかなかよい返事をもらえませんでした。皆さんの中には、検査結果が悪くても「元気だから自分は大丈夫」と思っておられる方が意外とおられます。そこで、今回は慢性腎臓病(CKD)についてお話ししたいと思います。
慢性腎臓病(CKD)とは?
腎臓の働きが慢性的に低下していく病気を慢性腎臓病(CKD)といいます。 実は日本には、約1,330万人(20歳以上の成人の8人に1人)もいると考えられ、新たな国民病とも言われています。
どんな原因でなりますか?
肥満・高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病は、腎機能を低下させると言われ、誰でもなる可能性があります。
実は、人工透析の原因となる病気の1位は糖尿病で、2位は慢性糸球体腎炎となり、1位と2位でほぼ70%を占めます。以降、高血圧、多発性嚢胞腎、慢性腎盂腎炎と続きます。
どんな症状がでますか?
初めは自覚症状はほとんどなく、健診などで偶然発見されることが多いです。しかし、病気が進行すると、夜間尿・むくみ・貧血・倦怠感などの症状が現れます。
CKDになると、どうなりますか?
腎機能がどんどん低下すると、血液中の老廃物が上手に排泄できなくなり(腎不全)、人工透析を行う必要があります。
しかし大切なことは、透析を受けている方の多くが脳卒中・悪性腫瘍・心筋梗塞で亡くなるということです。ですので、自覚症状がなくても注意が必要だと言われています。
CKDは治療でよくなるのでしょうか?
悪くなってしまった腎臓を回復させるのは困難ですが、生活習慣の改善と薬物治療を継続することにより、病気の進行を抑えることができます。そのためには早期発見、早期治療が重要です。