Q、「高脂血症」と言われましたが、コレステロールが高いと、なぜいけないのですか?
A、確かに、コレステロールは体の組織やホルモンの原料になるなど、重要な働きをしています。
しかし、高すぎる状態を放置すると血管の壁にコレステロールが溜まり(プラーク)、それが原因で血管がふさがってしまうことがあります。心臓の血管が詰まると心筋梗塞、脳の血管が詰まると脳梗塞になり、いずれも死に至る病で、日本人の約1/3はこれらの病気で亡くなっていると言われています。
従って、コレステロールが高くても自覚症状はありませんが、しっかり治療しておく必要があります。
(ちなみに、新生児の総コレステロール値は70前後、乳児で150前後しかありません)
Q、コレステロールが高い方が長生きすると聞きましたが、本当ですか?
A、これまでに世界中で報告されている信頼できる研究結果の中で、コレステロールを低下させると心筋梗塞の発症や死亡率が低下するという結果は数多くあります。しかし、「コレステロールが高い方が長生きする」ことを示す明かなデータは今のところありません。
確かに、「コレステロールが低い人と高い人を比べると、低い人の方が死亡率が高かった」と言うデータはありますが、これはコレステロールが低い人の中に、肝臓など重い病気のため全身の栄養状態が悪い人が多く含まれていたため、全体として死亡率が高くなったためです(コレステロールは肝臓で合成されるため、肝臓が悪いとコレステロールは低くなります)。このような重い病気の人を除くとコレステロールの高い人の方が死亡率が高くなります。
全身の栄養状態が悪い人(すなわち死亡率が高い人)は、結果的にコレステロールは低くなりますが、このことと、「コレステロールが低い人は死亡率が高い」は別の話ですし、「コレステロールが高い方が長生きする」も別の話です。
従って、コレステロールを高いまま放置すると動脈硬化の原因となることに間違いはありません。